みなさんは株の「信用取引」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
証券口座に入れてある投資資金や、保有している株を「担保」にして、実際に持っている資金よりも大きな金額で株を売買する上級者向けの投資法です。
理屈としては、FX(外国為替証拠金取引)と同じで、預け入れてある投資資金の何倍かの金額を運用することができますが、違っているのは倍率でFXの場合は25倍まで、株の信用取引では約3倍までとなっています。
また、このように実際の投資資金の何倍もの金額を運用することを「レバレッジ」と呼びます。
株の信用取引なら30%の資金でレバレッジをかけた取引ができる
一定の保証金だけを用意して株を買う方法を「信用取引」といいます。
取引に必要な「委託保証金」は約定金額の30%または30万円以上が一般的です。
100万円のA株なら、最低30万円の資金で購入できることになります。
A株が110万円に値上がりすれば、30万円の資金で10万円の収益が得られたことになります。
「100万円→110万円」なら収益率は10%ですが、「30万円→40万円」では33%です。
このように「レバレッジ」(てこの原理)を活用することで、効率的な収益を上げられるのです。
30万円で100万円の取引をすることを、「約3倍のレバレッジをかけた」といいます。
収益が3倍なら損失も3倍になる
不幸にして100万円で購入したA株が、90万円まで値下がりしたとしたらどうなるのでしょうか。
30万円保証金から10万円の損失が引かれるため、33%の損失となります。
「1000万円→90万円」なら10%の損失で済むことを考えると、信用取引がハイリスクハイリターンな投資方法であることがわかります。
さらに値下がりが続いた場合には、「追証」といわれる追加の保証金を差し入れなければなりません。
証券会社には「最低保証金維持率」を定めていて、最低20%です。
ネット証券では30%が中心です。
30万円の保証金で取引を始めた場合、株価が100万円を下回ったとたんに追証が発生したという連絡が入ります。
連絡を受けてから2営業日以内に追証を入金しないと、証券会社が強制的にA株を売却してしまいます。
保証金は、その証券会社の口座にある株式や債券などの有価証券を担保に充てることもできます。
有価証券の種類ごとに掛け目(評価率)が決まられています。
株式を担保に使う場合は80%が一般的です。
時価40万円のB株なら32万円の保証金に相当します。
この方法なら、資金ゼロでA株を購入できます。
うまく値上がりすれば非常に効率的です。
ただし、B株が値下がりすると、担保価値も下落します。
1割値下がりして36万円になると、担保価値は2万8000円になります。
最低保証金の30万円を下回ってしまうため、1万2000円の追証が必要になります。
同時にA株も1割値下がりすると、追証は11万2000円になります。
暴落の日の証券会社は、営業マンが追証を催促する電話をかけまくるため、騒然とした雰囲気が漂っています。
「売り」から入る取引もできる
信用取引では、保有していない株を売る「カラ売り」という手法も可能です。
100万円の株を売っておき、90万円に値下がりしたところで買い戻せば10万円の収益が得られます。
売却する株式は、証券会社や日本証券金融などの証券金融会社が貸してくれます。
借り賃である「貸株料」は日割りで計算されるため、できるだけ短い期間で買い戻すのが儲けるコツです。
銘柄によっては貸株料に加えて、「逆日歩」(品貸料)と呼ばれる手数料が発生することもあります。
一般信用と制度信用の違い
信用取引には、証券会社が独自に決済期間や貸株料を決める「一般信用」と、証券取引所が決めたルールに基づいて行われる「制度信用」があります。
制度信用の決済期期限は6ヶ月で、必ず期限内に反対売買を行って決済する必要があります。
対象銘柄は、株主数や売買高、業績で選ばれた「制度信用銘柄」のみです。
カラ売りができるのは、さらに絞り込まれた「貸借銘柄」のみになっています。
「信用残」で何がわかるの?
僕が株の短期トレードをしていた頃(今は短期トレードはFXのみ)は、必ず保有している銘柄やマークしている銘柄の「信用残」を毎日チェックしていました。
毎日チェックすることで、その銘柄の「人気度」が肌感覚として感じられるようになるからです。
ただし、株の初心者の方が気を付けなければいけないのは、「信用買い」あるいは「信用売り」というのは、近いうちに必ず決済、つまり「反対売買」が行われるということです。
具体的に言うと、
「ある銘柄が人気を集めて、株価がどんどん上がっているとします。その過程で信用の買い残も増えていきます。」
でも、【信用買い残が増えている=株価が上がる】と考えてその銘柄を買いに走るのはリスクがあります。
確かに、信用の買い残が増えているということは多くの投資家がその銘柄を買っているということなんですが、そもそも信用取引をしている投資家は「逃足が早い」という特徴があります。
彼らは、買った株を長期保有して育てようとは考えておらず、「利が乗ったら売り抜けよう」と目論んでいる人たちがほとんどです。
ですので、すでに多くの投資家によって株価が吊り上げられた銘柄は、いずれ彼らの「利益確定売り」によって急落する可能性が大いにあることを忘れないでください。
未決済分は火曜日(日証金は当日夜)ごとに公表される
信用取引で買った株は、期日までに売らなければなりません。カラ売りした株も、買い戻しが必須です。
しかも、制度信用なら、6か月以内に決済しなければなりません。
未決済の状態にある信用取引がどれだけ残っているかは、相場を展開を読む重要なヒントになります。
信用取引で買ったままの株を「信用買い残」、同じく信用取引で売ったままの株を「信用売り残」といいます。
それぞれの残高は、毎週火曜日の大引け後に東京証券取引所が公表しています。
一方、日本証券金融(日証金)を使った信用取引は、当日の夜に公表されます。
買い残が増えているのは、「今後、株価が上がるはず」と考えている人が多い証拠です。
「先高感が強い」と考えられ、買いのチャンスです。
株価が上がっているのに「買い残」が減っているときは、「そろそろ天井か」というムードと見られます。
株価が下がっているときに「買い残」が減っていれば、見切り売りが続いているサインです。株価の反発までには時間がかかるかもしれません。
信用倍率で強気・弱気を見る
株式市場に限らずあらゆる相場は、強気派と弱気派の力関係で動いていきます。
パワーバランスを教えてくれるのが「信用倍率」(貸借倍率)で、「買い残」を「売り残」で割ったものです。
- 信用倍率=信用買い残÷信用売り残
信用倍率が1倍前後にあるときは、売りと買いが拮抗している状態です。
1倍を下回っている(売り残が多い)場合は、今後、カラ売りしている人たちの買い戻しによる株価上昇が期待できます。
ただし、目先は「さらに株価が下がる」と読んでいる人が多いという状態でもあるので、注意が必要です。
買い残と売り残の両方が増えていくときは、相場が活況を呈している証拠で、株価が大きく動く前触れといえます。
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