経済ニュースや株関連のサイトなどによく出てくる「東証一部」「東証二部」、新興市場の「ジャスダック」や「マザーズ」の違いについてご存知でしょうか?
すごく簡単な「違い」ですので、これから株式投資を始められる方は、知っておきましょう。
東証一部、二部、新興市場の違いについては、僕の投資方法を例にすると分かりやすいかもしれません。
僕の今の株式投資のスタイルは、「財務体質の健全な優良銘柄を長期保有する」というものです。
そのポートフォリオには東証一部の中でも超がつく優良企業しか入っていません。
「バイ&ホールド」するには、それぐらいの巨大企業の方が安心して持ち続けられますし、実際、倒産する可能性も極めて低いからです。
でも、昔は違っていました。
株の短期トレードをしていた頃は、値動きが重い大型株よりも、短期間で数10パーセントとか、場合によっては数100パーセントも動く「新興市場」の銘柄を好んで売買することも多々ありました。
多数の投資家や大量の資金が流れ込む「大型株」や「値がさ株」といわれる銘柄は、「ずうたいがデカい」ために、「ストップ高」や「ストップ安」になることはまずありません。
一方、
投資家の数も流入する資金も少ない「新興銘柄」や「小型株」は、ひとつの方向に株価が動き出すと一気に「ストップ高」や「ストップ安」を付けることも珍しくありません。
そういった特徴を踏まえたうえで、要は「使い分け」なわけですが、ここでは一部市場、二部市場、そして新興市場の成り立ちや特徴について簡単にお話ししたいと思います。
一部市場に上場できるのは、厳しい審査をクリアした企業のみ
企業が取引所に株式上場するためには、各取引所によって定められた「審査基準」があります。
その審査基準を緩い方から厳しい方に順番に見ていくと、東京証券取引所の場合、
新興市場(マザーズ・ジャスダック) < 二部市場 < 一部市場
となります。
個人投資家、特に短期トレードをしている人には、値動きの軽い新興銘柄を好んで売買する人がたくさんいますが、そういった銘柄は「トレードのテクニックに長けた強者たち」がしのぎを削る場所なので、安易に初心者の方が手掛ける類の銘柄ではないと、個人的には思っています。
一部市場は二部市場より基準が厳格
東京証券取引所、、名古屋証券取引所には、それぞれ一部市場と二部市場があります。
一部市場は、二部市場に比べて発行株式数や株主数などの上場基準が厳しいため、「まずは二部市場、いずれは一部市場に」というのが、かつてのイメージでした。
最近では、条件さえ満たせば、最初から一部市場の上場することもできます。
新興市場は創業間もない企業のためのマーケット
創業したばかりの企業にも、マーケットを通じた資金調達のチャンスが与えられています。
それが「新興市場」です。
なかでも兄貴分にあたる「ジャスダック」は、かつての「株式店頭市場」が前身であり、創業当時のソニーやホンダも籍を置いていた歴史のある市場です。
以前は店頭公開を経て、二部市場に上場するのが常識でした。
株式店頭市場がジャスダックの生まれ変わるきっかけを作ったのは、90年代後半のITバブルです。
当時のアメリカでは、マイクロソフトやインテルなどのIT関連企業が上場する「ナスダック」(NASDAQ)が注目を集めていました。
日本版ナスダックは2004年にジャスダック証券取引所として設立されました。
複数の新興市場の誕生で空洞化を恐れた株式店頭市場が、証券取引所の免許を取得し、「ジャスダック証券取引所」となったのです。
しかし、東証の「マザーズ」、名証の「セントレックス」など相次いで新興市場が増え、再編機運が高まってきました。
その結果、2010年にジャスダック証券取引所は大阪証券取引所に吸収されました。
さらに2013年7月、大証の現物市場が東証に統合されたため、ジャスダックも東証傘下に入ることになりました。
新興市場への上場は、実績よりも成長性が重視されます。
ですから赤字であっても上場はできます。
上場前の審査期間が短いこともポイントです。
投資家にとっての新興市場は、成長の夢に投資する場といえるでしょう。
東京オリンピックの頃にソニーやホンダの株を買っておけば、資金は数百倍に増えていたはずです。
ただし、発行株式数が少ない新興市場の株は、乱高下しやすく、あっというまに株価が数倍になることもあれば、10分の1になる可能性もあるため、要注意です。
未公開株を売買するグリーンシート市場
株式公開前の企業を「未公開企業」といいます。
未公開企業が資金を集めるには、銀行からの融資を除けば、親戚や友人に頭を下げるしか道はありません。
彼らにも、広く資金を集めるチャンスを提供しようと作られたのが「グリーンシート市場」です。
その対象銘柄(グリーンシート銘柄)となるには、一定の条件を満たし、日本証券業協会に届けなければなりません。
協会が気配値(売買に応じる値段)と売買高(売買する株数)を公表し、その情報をもとに証券会社を通じて売買を行います。
そのためグリーンシート市場は、「気配値公表銘柄制度」ともいわれます。
株式公開をきっかけに株価が大きく上昇する可能性を持つグリーンシート銘柄ですが、対象銘柄が少ないうえ玉石混淆とあって、ハイリスクハイリターンな投資先となっているのが現状です。
※ グリーンシート市場は、2015年にクラウドファンディングによる資金調達が合法化したことから、2018年3月をもって廃止されました。