スタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズといった格付け会社がレーティングする企業や債券の評価に関しては、僕の感覚としてはトレーダーとしてよりも、ファイナンシャルプランナーとして株や債券投資をしている方への「参考資料」としての役割が大きいように感じています。
短期トレーダーとしての立場からすれば、日本の証券会社などが発表する「目標株価」の方が重要度が高いでしょう。
企業財務の安全性がわかるアルファベットで示した記号
スタンダード&プアーズ(S&P)やムーディーズ、あるいは日本で最も信頼されている「格付投資情報センター」といった格付け会社は、アルファベットを使って企業や債券のレーティングを行っています。
格付け
債権は、発行体が破綻すると元本が返済されない債務不履行の可能性があるので、発行体の信用力が極めて重要となります。
このように、発行体の債務不履行が発生するリスクを信用リスクまたはデフォルトリスクといいます。
デフォルトリスクを測る材料として格付けがあり、この格付けは第三者である格付け機関が独自に判定して公表しています。
格付けの高い債券は信用力が高いため、その分、利回りが低くても購入する投資家がいます。
つまり、表面利率や償還期限など、他の条件が同じであれば、格付けの高い債券は格付けの低い債券に比べて利回りが低く、格付けの低い債券は格付けの高い債券に比べて利回りが高くなるというわけです。
「AAA」なら倒産はない!?
株式や債券は、企業の信用をもとに発行された有価証券です。
逆にいえば、企業の破綻によって紙クズ同然になる宿命も負っているのです。
業績次第で価値が上下する株式と違って、債券は満期と利払いが決められて発行されます。
どの程度の利率で債権を発行するかを決めるのに、「格付け」(レーティング)が使われます。
格付けは、アメリカのムーディーズ、スタンダード&プアーズ(S&P)、日本の格付投資情報センターなど民間の格付け機関が行っています。
いずれも独自の財務分析をもとに破綻確率を指数化し、アルファベットを使ってランキングしています。
最も信用度が高いのがムーディーズや格付投資情報センターの「AAA」、S&Pの「Aaa」です。
S&Pとムーディーズの評価方法
市場から最も信頼され、同時に最も株価や債券価格に影響を与えるのがスタンダード&プアーズ(S&P)とムーディーズのレーティングでしょう。
両社の格付け表記は以下のようになっています。
格付ランクの例(格付投資情報センターの場合)
- AAA
- 債務履行の確実性は最も高い
- AA
- 債務履行の確実性は極めて高い
- A
- 債務履行の確実性は高い
- BBB
- 債務履行の確実性は十分である
- BB
- 債務履行の確実性は当面問題ない
- B
- 債務履行の確実性に問題がある
- CCC
- 債務不履行の可能性が大きい
- CC
- 債務不履行の可能性が極めて大きい
- C
- 債務不履行かその懸念が極めて強い
日本の格付けが上がると株価が上がる
株式投資では「その企業が安全か」というよりも、「業績を伸ばせるか」という点で選択が行われるため、格付けはあまり重要視されません。
むしろ影響が大きいのは、日本という国の格付けです。
債務が多い日本の格付けは、先進国のなかで最低ランクです。
最上級の格付けを得ているアメリカと比べて、国としての信用度が低いと判断されています。
信用度の低い国の株式市場は、敬遠されるのが自然なことです。
外国人の投資資金が入らなくなれば、株式市場全体が低迷しかねません。
2010年1月には、ムーディーズが日本の格付けを1段階引き下げたことで、日経平均株価は下落に拍車がかかりました。
国の財政と、それにともなう格付け機関のレーティングは、株価にも大きな影響を及ぼしているのです。