為替と金利が株価にどのような影響を与えるか?
と聞かれても、これから株式投資を始めようという方にはピンとこないものだと思います。
経済の論理としては、別に難しいことではないので、このページでサラっと「為替と金利と株価の関係」について書きました。
大まかな理解につながるかと思います。
でも、われわれにとって重要なのは、経済学的な話ではなくて、単純に「株式投資」をするうえで、為替と金利がどういう関係性にあるかということです。
なので、そこさえ把握しておけばOKだと思います。
✅「為替と金利と株価の関係」をシンプルに表すと、
- 円高=株安・円安=株高
- 金利上昇=株安・金利下落=株高
とさえ覚えておけば、とりあえず大丈夫です。
為替が円安になると株価は上昇傾向になる
株式投資をするだけなら、為替に関しては「円高=株安・円安=株高」とだけ理解しておけば十分なんですが、そうなる仕組を簡単に説明したいと思います。
たったの1円の円安で数億円単位の利益増
ドル円レートと日経平均株価には、密接な関係があります。
円安になると株が買われるからです。
新聞に「円安を好感して~」というフレーズが登場することからも、円安が日本経済のプラス要因であることがわかります。
自動車メーカーの例で考えてみましょう。
ドル円レートが1ドル100円のとき、1万ドルの車を1台輸出すれば100万円の売上です。
ところが、同じ1台でも1ドル80円なら、売上は80万円にしかなりません。
輸出企業にとって円安は、強い追い風になります。
トヨタ自動車のような大企業になると、ドル円レートが1円動くだけで、利益が数億円単位で変わります。
為替市場で円高が進行すると、日銀総裁や財務大臣をテレビが追いかけるのも、為替の変動が日本に与える影響がそれだけ大きいということです。
為替レートの変動よって発生した利益を「為替差益」、損失を「為替差損」といいます。
輸出企業が支える日本経済
もちろん円高にもメリットがあります。
ガソリンのようにほぼ100%輸入に依存している商品の値下がりは、すべての産業にとってコストダウンの効果をもたらします。
にもかかわらず「円高→株価下落」となるのは、日本を代表する企業のほとんどが輸出企業だからです。
自動車、電機、精密などは、いずれも輸出で稼ぐ企業です。
円高になっただけで、業績とは無関係に株が売られることがあります。
実際には、1ドル80円台という円高を経験したことで、為替に左右されない企業体質を作り上げた会社も少なくありません。
そんな企業でも、円高というだけで株が売られることがあります。
投資家のイメージが株価を動かす好例といえます。
金利と株価の関係
為替だけでなく、金利も経済に大きな影響を与えます。
例えば金利が上昇した場合、製造業が経済を牽引してきた日本では、工場を建設するなどの投資に対して、その「資金を調達するコスト」が金利の上昇によって増えてしまうからです。
金利は企業財務や設備投資に影響する
金利は企業財務に大きく影響を与えます。
ほとんどの企業は、銀行融資を受けて事業を展開しています。
「金利=返済額の上昇」となり、借金の多い企業にとっては明らかにマイナス要因です。
高金利になると、設備投資も減少します。
同じ新工場の建設でも、高金利で借金をしたのではモトがとれません。
旧型の設備しかない手狭な工場では生産性は低いままです。
魅力的な新商品のアイデアがあったとしても、商品化は遠のきがちです。
低金利で個人投資家が増えた
機関投資家のベンチマークは、10年国債の利回り(投資額に対する利益の比率)です。
安全性の高い国債で高い利回りが得られるなら、あえてリスクのある株式を買う必要はないと考えられます。
買いたい人が増えれば価格が上げり、売りたい人が増えれば下がるのが株です。
金利上昇が株式市場からの資金流出を招き、株価は下落していきます。
これは個人投資家にとっても同じです。
低金利の影響で、預金では増えない時代が続いたことで、株式投資が脚光を浴びました。
定期預金の金利が1%以下だった頃には、3%の配当が得られる銘柄が輝いて見えました。
低金利は、企業にとっても追い風です。
積極的に設備投資を行い、攻めの経営を行うことができます。
このように株価と金利には密接な関係があるため、日本銀行は金利を上げ下げして、結果として株価をコントロールしているわけです。