僕は過去に、株とFXの両方で痛い失敗を経験してきました。
その理由は、「株とFXが持つそれぞれの特徴」を理解せずに、ただ漠然と資金を投下してきたからでした。
そういった経験から、株を含めて「何かに投資する」際には、必ずその投資対象の性質を踏まえたうえで、「時間軸」によって投資スタイルを変えています。
シンプルに言えば、その投資を「短期」で考えるのか、あるいは「長期」で考えるのか、ということです。
それによって、投資対象・投資スタイルは変わってきます。
僕の短期投資と長期投資の分け方は、おおよそですが、デイトレードやスイングトレード(※)は「短期」、数か月から数年以上の期間保有する場合は「長期」としています。
※ デイトレードとはその日のうちにエントリーから決済までが終わるトレードで、スイングトレードとは2日から数週間程度保有することを言います。
長期投資に適した株と、短期トレード向きのFX
株の短期トレードで大きく稼いでいる投資家が沢山いることは分かっているのですが、僕は個人的には株は長期運用に適したマーケットで、短期で回す場合はFXの方が向いていると思っています。
✅ FXが株より短期トレードに向いている理由としては、
- FXは株よりレバレッジを掛けられるので少ない資金を効率良く回せる
- 為替市場は24時間開いているので、ギャップアップ&ギャップダウン(※)のリスクが少ない
- 為替市場は参加者が多いので「仕手筋」の仕掛けに合わなくて済む
- 為替市場は参加者が多いので、チャートの値動きが比較的セオリーにそって動く
といったことが挙げられます。
すべて短期トレードには大切なことばかりですが、実際のトレード中に感じるメリットとしては、最後の2つだと思います。
※ ギャップアップ&ギャップダウンとは、日本の株式市場が閉まった後で、海外のマーケットの動きの影響を受けて、翌日の株価が前日の終値から大きく乖離して始まることです。
株に比べて短期足(日足以下)の動きが素直なFX
短期トレードをする際に、
「何を根拠としてエントリーし、どういった根拠をもってエグジットポイント(利確もしくは損切り)を決めるのか」
ということは、基本的にチャートが示すシグナルを基に判断します。
ということは、チャートがある程度セオリー通りに動いてくれないと、戦略そのものが成り立たなくなってしまいます。
ところが、株の場合はこのチャートの動き「を乱す要素」がすごく多いんです。
✅ 例えば、
- 企業業績に影響を与えるニュースや発表
- 機関投資家や仕手筋の仕掛け的な売買
この他にも、資金力を持った個人投資家によっても株価は大きく影響を受けることがあります。
そういった「特定の人たちの思惑」で株価が動いてしまっては、チャートのセオリーを基にした戦略が上手くいかない可能性が高くなります。
「特定に人たち」が、彼らがどんな個人的な事情で株を買ってきたり売ってきたりするかなんて、まったく予想できませんから。
長期保有する場合は、これらの日中の想定外の値動きは、長期的な業績のもとの収れんしていくので、それほど問題ではないんですが、デイトレードのように「日々の小さな波」に乗っていく短期トレードでは、大きな問題となってしまいます。
その点、市場が24時間開いている為替市場にギャップアップやギャップダウンは(ほぼ)ありませんし、市場に流れているお金があまりに大量なので、個人やいち機関投資家が意図的にレートを動かすことなど不可能だということも、僕のようにチャートの基本に忠実にトレードするトレーダーにとっては好都合なんです。
以上のような理由から、僕は短期トレードの対象をFXに切り替え、そして、FXで得た利益を株の長期投資に振り向ける投資スタイルを採用しています。
「FX=短期トレード」+「株=長期投資」の併用ならそれぞれの欠点をカバーできる
僕のFXトレーダーズマインドというブログでトレード成績を公表しているように、FXではコンスタントに勝つことができています。そこで、
「じゃあ、FXでトレードし続ければどんどん資金を増やせるじゃないか」
と思われる方がいるかと思います。
たしかに、普通はそう感じるはずです。
もちろん僕も試しました。
FXでさらに稼ごうとトレード資金を大きくしたり、短期だけでなく、長期間の大きな波を狙ってみたりもしました。
ところが、冒頭でお話ししたように、株とFXにはそれぞれの特徴というものがあって、FXという投資対象は、大きな金額や長期の投資がすごくやりにくい性質を持っているんです。
富を生み出さないFXは長期投資に向かない
おそらくですが、FXのトレードをしている人で、「長期投資」をしてる人はかなり少ないんじゃないでしょうか?
僕の周りトレード仲間を見ても、ほぼ100%みな短期トレーダーです。
例外的に、「外貨預金」としてFXを利用している人がいるとは思いますが、彼らはトレーダーではありませんから。
では、どうして株の場合は短期トレーダーもいれば長期投資家もいるのに、FXではほぼ全員が短期トレーダーなのでしょうか?
その答えは簡単で、
「FX(為替市場)は、富を生み出さないからです」
富を生み出さないということは、為替市場に流入する資金は「富を移転」させるだけで、新たな価値を生み出しているわけではないからです。
つまり、いくら長期間ドルだったり円だったりを保有し続けても、基本的には「増えて行かない」ということです。
その証拠がFXのチャートによく表れています。
ある時期は「円高」と言われたり、ある時期は「円安」と言われたりしますが、長いスパンで見ると、
「おおよそドル円レートは100円から120円の間を行ったり来たりしています」
下(↓)のチャートは、2012年からの約17年間のドル円レートの推移です。
僕が普段使っているチャートなので色んな線が入ってますが、レートが一定の範囲内で動いているのが分かるかと思います。
これこそが、FXが株と違って長期投資に向かない原因です。
これを長期保有したところで、レートは戻って来てしまうので、資金はなかなか増大しません。
株式投資家の資金が企業を成長させ富を生み出す
一方、株式市場は、FXのような単なる富を移転させるだけの市場ではありません。
投資家が企業の株に投資した資金は、企業の活動に利用され、新たな製品、新たなサービス、新たな雇用などを生み出します。
その結果、企業が、あるいは株式市場全体が成長していくわけです。
「アメリカのニューヨークダウ(主要銘柄の平均株価)の右肩上がりの推移が、株式市場の本質をよく表していると思います」
下(↓)のチャートは、2009年から2019年までの10年間のダウ平均株価の推移です。先に見たドル円レートと比べると違いは一目瞭然です。
株式市場に流れ込んだ投資家からの資金が、企業活動を支え、新たな富を生むことで、株式市場全体が成長しています。
これに長期投資すれば、長い目でみれば資金を増大させることができます。
以上が、僕がFXと株を「併用する合わせ技」を採用している理由です。
株の長期投資なら株式市場特有のギャップダウンを気にせずに済む
株の長期投資にメリットをもうひとつ付け加えるとしたら、株式市場特有の「ギャップダウン」を無視できることです。
短期トレーダーにとっては、持ち越した株が、次の日に大幅下落で始まるギャップダウンは恐ろしいもので、大きな損失が確定する「損切り」をせざるを得ない状況に、僕も何度も遭遇しました。
もちろん、ギャップダウンがあれば、その反対のギャップアップもあるわけですが、大幅下落で始まる状況がトレーダーの心理面に与える影響は大きく、大きな損切りをした直後や、大きな含み損を抱えた状態では、その後のトレードにも何らかの影響が出てしまうものです。
でも、そもそも1日の値動きなんかに一喜一憂しない長期投資でなら、そんな心理面の影響を受けることはありません。
ギャップダウンもギャップアップも、一時的な「ノイズ」でしかないことを、長期投資家は知っているからです。
僕は株の短期トレードよりもFXの短期トレードの方が成績が良かった
ギャップダウンとギャップアップもそうですし、先に話した機関投資家や大口の個人投資家の売買によるチャートの不自然な値動きは、理論を基に戦略を立てている僕のような個人トレーダーにとっては、戦略そのものを機能させなくする大敵です。
今やっているFXの短期トレードの前は、僕も株の短期トレードをしていましたが、これらの「短期トレードに邪魔な要素」によって戦略を乱され、負けることが多々ありました。
ところが、僕という同じ人間が、短期トレードの舞台をFXに切り替えてからは、コンスタントに勝ちを重ねることができているんです。
これは、とりもなおさず、
「為替市場が株式市場に比べてチャートのセオリーに従って動く傾向がある」
ことを示しています。
結論:FXでコツコツ稼いだお金を「成長する株式市場」に長期投資する
これまでお話ししてきたことを踏まえ、僕が取ってきた投資戦略は、
教科書的なチャートの動きをするFXの短期トレードで小さな利益を積み重ね、それを「ほったらかし」でも長期的には富を増大させてくれる株式市場で運用する
というものです。
投資スタイルは、その人の性格に合うものを採用するべきなので、一概に僕の手法が正しいとは言い切れませんが、数々の失敗を基にたどり着いた方法は、ひとつの例として参考にしていただけたらと思います。
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